平成29年度税制改正により、配偶者の合計所得金額に応じて受けられる配偶者控除、配偶者特別控除が見直されました。 これにより平成30年分から配偶者控除では納税者本人の所得金額に制限が加わり、配偶者特別控除については控除対象となる 配偶者の所得金額が拡大されました。 ●対象となる配偶者の条件 ①婚姻届が提出されている配偶者であること ②納税者と生計が一緒であること(同居は要件ではありません) ③青色申告者の事業専従者としてその年中に一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業従事者でないこと 上記の3つの条件すべてにあてはまる人が対象となる配偶者となります。この所得金額に応じて、納税者は配偶者控除又は配偶者特別控除の適用が受けられます。 ●配偶者控除はこのように変わります 平成29年までは、妻の所得(合計所得金額)が38万円以下(給与収入で103万円以下)であれば、配偶者控除として38万円を夫の所得から差し引くことができました。(妻が70歳以上の場合は48万円) 平成30年以降は、夫の所得が1,000万円を超える場合、配偶者控除を適用することができなくなりました。また、夫の所得が1,000万円以下であっても、所得の金額によっては控除できる金額が減ります。 ●配偶者特別控除を適用していた場合はこのように変わります 平成29年までは、妻の収入が103万円を超えているため、配偶者控除が適用できず配偶者特別控除を適用していた場合、夫の所得が1,000万円以下であれば妻の所得によって控除できる金額が決められていました。 平成30年以降は、夫の所得と妻の所得によって控除できる金額が変わります。夫の所得が900万円以下の場合、妻の所得が85万円以下(給与収入で150万円以下)であれば配偶者控除と同じ38万円を夫の所得から控除できます。 ●今後どう対応していくことがよいのでしょうか 平成29年までは、妻の収入が増えると配偶者控除や配偶者特別控除を適用することができなくなり、妻が働いて収入を増やしたとしても、世帯全体での手取り収入が減ることがありました。そのため、収入制限をしながら働く妻が多かったのですが、配偶者控除が適用される年収150万円までなら、夫の所得から配偶者控除(38万円控除)ができるようになりました。夫婦でお互いの所得金額を把握しながら、世帯全体で一番手取りが多くなる方法、税金が少なくなる働き方を選択していく必要があります。妻の働き方だけでは増税を防げない場合、どのような対策があるのでしょうか?生命保険に加入している場合には、生命保険控除を適用することができます。また、ふるさと納税を利用している場合には、寄付金控除を適用する等、様々な所得控除や税額控除を活用することができます。 |